Ashrmです。ダンカグの発売の陰に隠れる形ですが、Sixtar GateのSwitch版で新しいDLCが発売されました。バーチャルBJクルー「POCOTONE」のコラボレーションDLCだそうですね。韓国のVtuberとのコラボで、クラウドファンディングにより制作されたと聞くとあまり買おうという気にならないかもしれませんが、その前に、このDLCについてもう少し知ってからでもよいのではないでしょうか。
POCOTONEとは何者か
せっかくなのでこのコラボ先であるPOCOTONEがどのような集団なのかnamuwikiなどで調べてみました。namuwikiの記述をgoogle翻訳するくらい誰でもできると思うので、ここで私がまとめる意義はあまりないかもしれませんが…
POCOTONEは、韓国の映像配信サービスアフリカTVで活躍中のバーチャルBJユニットです。BJというのはアフリカTVなどでの配信者の呼び方で、Broadcasting Jockeyのことだそうです。メインとするプラットフォームがYouTubeではないのでVtuberという表現は正しくないとする説もありますが、ここではVtuber表記を通します。
今回のDLCに登場するPOCOTONEメンバーは3人です。
오리꿍(オリクン/Origgung) ...どうやらアヒルらしい。韓国においては歌手のような活動が中心であることの多いVtuberの中で、ゲーム実況者であることを特徴としており、ジャンル・規模を問わず様々なゲームを実況する。2022年アフリカTVで新人賞を受賞。
얌(ヤム/YAM*1 )...初配信によると、種族は細菌*2。ゲーム配信をしていることが多いようですが、歌声が人気のようです。
히요코(ヒヨコ/Hiyoko)...現役女子高生で、韓国の成績評価制度である等級制度において最低の9等級*3であることが特徴。強烈なキャラクターで配信を進める。
もともとDREAMSCAPEYという、同人音楽サークルを前身とした音楽コンテンツ制作会社が個人勢を集めて期間限定のアイドルユニットを作るPROJECT CONNECTを立ち上げ、そこでオリクンとヤムが出会い2022年8月にPOCOTONEを結成。その約3か月後にヒヨコが加入。その後、同じくPROJECT CONNECT1期生である달체솜(Dalchesom)が加入して4人組となったのち、現在ではさらにもう一人いるようです。
音楽活動ではPOCOTONEでもDREAMSCAPEYと共同作業をしています。POCOTONEのYoutubeチャンネルでは、カバー曲が中心にみられますがオリジナル曲もいくつか見られています。
各楽曲の制作について
今回のDLCはこのために制作された新曲10曲とゲーム中で使えるEMOTICON9種が入っています。上の画像はこのEMOTICONから引っ張ってきたものです。
今回のDLCに参加したコンポーザーは139cm、BlueArpeggio、litmus*、N4ML*4、STELLARです。結構音ゲーマーにはなじみのない顔ぶれも多いかもしれません。
このうちlitmus*以外はPOCOTONEの所属事務所、DREAMSCAPEY所属の作曲家です。
もともとDREAMSCAPEYは音楽コンテンツ制作会社で、スマホゲームの歌付きのサウンドトラックなどの制作を行っていたようです*5が、PROJECT CONNECTがなぜ始まったかといえば、異世界アイドルの活躍を見たN4MLが、個人勢がバーチャルアイドルになる機会を提供したいと思ったからなわけです。
そこからPOCOTONEが生まれたことを考えると、このDLCで行われていたのは音ゲー曲制作というより、DREAMSCAPEYによるアイドルの楽曲プロデュースのほうが近いということになります*6。
ところで、PROJECT CONNECT シーズン1では、8人全員が参加するシーズンのオープニング・クロージング曲、各メンバーのソロ1曲ずつでオリジナル曲が合計10曲とカバー曲8曲とMVが制作されました。そう考えるとPOCOTONE DLCではMVがないにしてもVtuberユニット3人組のオリジナル曲10曲を音楽ゲームのDLCのために書き下ろすというのは、かなりすごい計画だったのではないでしょうか。
そして、クラウドファンディングと先ほどちょっと触れましたが、ここでの高額なパッケージに対するリワードにこれらの曲を収録したUSBがありました。このUSBアルバムに収録されているのは音ゲーサイズではなくフルバージョンらしいです。日本在住の人にとってはこれを入手する難易度は高いですが、配信でもよいのでフルで聴きたいです。
また、開発者インタビューで言われていたのが、「シクスターゲートという新しいIPだからこそ可能なコラボであり、より大きくて歴史のあるIPがやろうとすると反発がシクスターゲート以上のものになるだろう」ということ、「POCOTONEはオリジナルコンテンツを作りたいというモチベーションが強いことがあり、シクスターゲートには良質な曲が追加されPOCOTONEには自分のコンテンツのよいアピールになる」ということでした。もしかしたら今後もこの様な意外なコンテンツ追加が来るかもしれませんが、嬉しい驚きとなることを期待しましょう。
楽曲・譜面紹介
DLC曲を半分くらい紹介しようと思います。Steamのストアページにあるクロスフェードは曲名と曲の対応が正しくないので注意が必要です。QUASARの難易度と歌っている人、2月下旬~3月上旬にYoutubeのCFK公式チャンネルで公開された試聴音源で示されたジャンル名、主にSteam版のQUASAR譜面に対する私の感想やコメントを書きます。私は曲の感想を書けないんですが。
このDLCは歌詞がほとんど韓国語のため、歌詞のテキストが公開されて翻訳機にかけられるようになるまでは歌詞の意味が全く分かりません。しかし、私にとってはその方がよかったりします。私がDJMAXの韓国語詞の曲を楽しめている理由の5割くらいは聴いても歌詞の意味が分からないところにあると思っています。
사무치는 누군가의 위로/Scatter One's Consolation/染みた誰かの慰め*7(LUNAR 10/SOLAR 11)
オリクンが歌うEnka+EDMです。
何これ?
演歌にしては速く、歌い方もいまいち演歌らしくないですが、そのようなツッコミを入れること自体がつまらないです。この曲に対する韓国語コミュニティでの反応から私が学んだ事として、韓国では日本でいう演歌をトロットと呼ぶこと、そしてこの曲があります。yomohaさんありがとう
譜面は、およそ前半のせいでLN偏重譜面でもないのにノーツ数が異常に少なく、WHITE STARの失点が大きいです。最初の32分階段でWHITE STARを出すとすごく萎えます。
죄인과 세계의 마침표/Come to an End/罪人と世界のピリオド(12/11)
ヤムが歌うJ-Popです*8。
コミュニティでは一般にDLCの中で特にいい曲として挙げる人が多いです。
:하트: :돋보기: :무지개: :오리: :별:*9/:heart: :mag: :rainbow: :duck: :sparkles:/❤️ 🔍 🌈 🦆 ✨*10(13)
オリクンが歌うJ-POPです。
このDLCパック、リズムが素直な曲が多くて表記難易度の割にPBが容易な譜面で構成されている印象なのですが、この曲だけは例外で、途中のギターソロで8分と12分の同時処理を要求する部分が非常にスコア難となっています。
Love this memory (13)
メンバー3人が歌うSummer Popsです。
発狂BMSで破壊された譜面観で言うのもアレなんですが、メロディー合わせが素晴らしい譜面です。というかこのDLCの全編そうなんですが。ほぼ8分しかなく、最難所もかなり叩きやすく見やすい16分のため、13で一番PBが簡単な曲だと思います。
첫사랑의 시작 소리/First love begins/初恋が始まる音(14)
ヒヨコが歌うToy Popです。
このDLCで私が一番好きな曲です。譜面密度は確かに14のそれなのですが、リズムはBPM170の16分乱打以上に複雑なことはほぼ何も要求されていないため、特にLUNARは14で一番PBが簡単な譜面だと思います。SOLARにはSOLAR特有の認識の問題があり、前半は若干慣れが必要なところもありますが、 リズムが素直な点は変わっていません。SOLARの歌合わせと16分乱打の両立は完成度が高いです。
Quasar譜面をいつものようにアンサー音をハンドクラップでプレイすると音楽が16分乱打でかなりかき消されることに気づき、たまにはアンサー音を変更するかと思い至った、ということを書いておきます。
コミュニティの反応
Vtuberコラボということで、リリース前のコミュニティの反応は正直賛否両論だったところがあります。私自身はシクスターゲートのDLCとくればほぼ無条件に金を払うという姿勢になっていたためクラウドファンディングに参加しましたが、正直このDLCがどのようなものか見当もつきませんでした。
しかし、結果として出てきたDLCの曲がシクスターゲートのファンの嗜好にかなり良く合っており、さらに譜面も難易度が高くなく、嫌な配置も少ない、音楽を楽しめる譜面*11だったので、このDLCは大好評を博し、「シクスターゲート本体と同時に買うことが必須」とまで言う人が出てくるほどでした。
まとめ
POCOTONE DLCは、楽曲が良く、譜面も低難易度で楽しめるものが収録された、初心者から楽しめるオススメのDLCです。
私はこの件があるまでPOCOTONEを一切知りませんでしたが、こうしてシクスターゲートと関わった以上、私はPOCOTONEの今後のさらなる活躍を願うほかありません。
*1:ゲーム内ではメンバー3人の中で唯一Alphabet表記でした。
*2:つまり、ヤムは日本語ということなのでしょうか。ヒヨコも日本語だし驚きです。
*4:こう書いて노사무엘と読むらしい
*5:言い方を変えると、必ずしもコンポーザー等の名前が前に出ることのない世界での音楽、でしょうか。音楽ゲームとはその辺の文脈が全く異なり、面白いです。
*6:実際のところは、両者の隔たりはさほど大きくないのだと思います。
*7:英語のタイトルであれば、わかるのでそのまま呼びますが、韓国語のタイトルは読みも意味も分からないので、日本語訳で呼んでもよいと思っていたりします。ここではpapagoで得られたものを私が勝手に解釈して掲載します。とは言いながら、このタイトルにある「사무치는 누군가」は日本語にするのがかなり難しい言葉です。
*8:ところで、このDLC曲にはジャンル名表記にはJ-PopはあってもK-Popはないんですよね。
*9:Youtubeの試聴音源でのタイトルから変更になった唯一の曲で、もともと「허둥지둥 오리라도 사랑이 하고 싶어~!」(あたふたアヒルでも恋がした~い!)というタイトルでした。変更になった理由は不明ですが、もしかしたら現行タイトルで読み同じとかいうオチでしょうか。
*10:わーーーみたいなタイトルの曲とか呼ばないでくださいって誰も呼んでないか
*11:こういう言い方をすると文化の押し付けっぽくて嫌ですし、私は自分で「音楽がわからない側の人間」だと思っているので