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future funkとジャンルまたは時代の話

Ashrmです。音楽に関する短い記事です。

まず最初に、これは卒業論文を書いているときに得られた最大の成果です。

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私は最近は80年代周辺、場合により60年代から90年代、とにかく過去の音楽を聴いています。過去の音楽と言ってもクラシックほどの過去になるとまた別の問題になってきますよね。クラシックはもしかしたら私の言う意味での「過去の音楽」ではないのかもしれませんし。

以前からそればかり聞いていたわけではないのですが。私が音楽に平均以上に関心を持っていると認識し始めたのが中学3年次あたりにYMOを聴き始めたときです。このときは買ってきたCDをCDプレイヤーもないのに学校に持って行って自慢していました。中二病ですね。それから親の趣味もあって当時から過去の音楽を聴いていたところがありますが、今ほど積極的に調べるようなことはしていませんでした。

それから高校になると、正直高校は3年次まで音楽については音楽ゲーム以外で触れ合っていなかったと思うのですが、大体会津さんの影響でwarp recordsの一部の奇怪な音楽を聴き始め、特にAutechreをよく聞いて迷惑をかけていました。

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過去

そんな中、2017年末ごろにVaporwaveを(音楽を聴くという意味で)初めて知り、その現代の閉塞そのものみたいな作風に魅力を感じました。年齢的にはともかく時代的には遅いのであって、そのころにはすでにVaporwaveそのものは過去のムーブメントとなっていた感は否めないのではないかと思います。資本主義社会に対する抵抗だとか9.11以後存在しなくなってしまった未来とか存在しない記憶に対する郷愁とか暗黒啓蒙と関係があるとか、なんだか物々しい概論・分析が多くありますが*1、その中でもわかりやすい部類であるFuture Funkに惹かれました。とはいっても、私の好んだFuture Funkの範囲は結構狭かった覚えがありますが。単純に好きな音楽のパターンにはまっただけというのが正しいと思います。

ここから音楽嗜好の進展には2通りのルートがあると思います。つまり、原曲である80年代ポップスに惹かれていつの間にかそればかりを聞くようになるルート。もう一つはFuture Funkの「過去の音楽」要素以外の要素に惹かれて、Future Funk出身のMoe Shopがやるような複雑なダンス・エレクトロポップに入っていくルート。ここで、本来の音楽志向が見えてくると思うのですが、先述の通り私は前者です。

 

こうなっている原因には、本来の音楽志向のほか、逆張りオタクとしての性質といった、音楽的に不合理な事情*2が多くあると思います。私が今回話題の中心にしたいのはこちらの方です。

私の属しているDiscordには「推し音源チャンネル」という、ひたすらメンバーが好きな曲のsoundcloudだかspotifyだかyoutubeだかのリンクを投げるチャンネルがあるのですが、人によって投げる作品の毛色が大きく異なります。過去の音楽を流す人間が他にもいるのはやや驚きではありましたが、もちろん普通の人もいて*3、現代のボカロやBMS曲なんかを流しています。私はこれらの曲を割と食わず嫌いしているところがあるのですが、たまに聞いてみると、これが複雑なダンス・エレクトロポップのような曲であっても好きな音楽のパターンにはまっていたりして、この時に私がいかにジャンルを色眼鏡で見ているのかがわかります。開けた心って難しいね。80年代JPOP的なシンセサウンドは、こんなにも素晴らしいのに、もう二度とメインストリームに帰ってくることはないんだな~と思っていますが、そういう「もはや誰も知らないもの」であるから惹かれているのかもしれません*4。そして、新しいプロセカの曲なんか好きになった日には、私はその他大勢の人間の中に吸収されてしまうのではないかという恐れがあるようです。そもそも私は特別ではないのかもしれないのに。 

もう一つ、もっと悪い要素があります。今ではアイデアがほぼ枯渇しているのですが、高校3年次のあたりでは音ゲーのためにDTMをやっていたのです*5。同級生の曲より尖ってはいるがクオリティ的に劣る曲を濫造していました。高等学校の内輪ネタ的に吸収されているおかげでなんとかなっていましたが、やっぱり本当に表現できている人と比べたときの差は無視できず、それが2度参加したShooter's Festivalの個人順位にはっきり現れています。や、譜面のせいかもしれませんが、でも曲の「できないなりにやってみました」感はぬぐえない気がします。私が勉強をしようとしていないことが原因と言われればそれまででしょうが。

で、そういう前科があるせいで*6、私が現代のDTMを聞くときにいらぬ劣等感が入り込んできています。もはや私は「作品の消費がうれしいお客さん」であることが非常に難しい状態に落ち込んでしまいました。

そのことを認識すると、このまま自分だけの世界で「過去の音楽」を聴き続けていてもよいのだろうかと少し思ってしまいます。もちろんよいのですが、それでも取り残されている感をやや感じてしまうところがあります。今後私の音楽消費行動がすぐ変わるとは思えないのですが。

 

 

 

 

*1:Vaporwaveはそういうのが多いジャンルではあると思われますが。

*2:あいまいな表現なのであり、音楽的に合理的な事情ってなんだよって感じですし、音楽を社会と切り離すことがそもそも無理なのですが

*3:なんとまあ傲慢な表現でしょうか。

*4:もし万が一再びメインストリームに帰ってきたら、私はそれを手放しで歓迎できないかもしれません。そういうムーブメントが巨大なメディアかなんかの力に作り上げられていく様子を見ながら、絶望を深める可能性があります。

*5:さっき述べた「迷惑」にはこれもあてはまります。

*6:実はそれは言い訳で、私が劣等感を抱えて退散しがちな性格であることが主因である線が強いです。あーあ。