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音楽ゲームのとっつきやすさについて (DJMAXを中心に)

"PRESS ANY KEY TO PAY RESPECT"と。ここで「なぜFにしないんだ」という声があふれるかもしれない。しかし、"Press F to pay respects"というのはもともと葬式のシーンで黙祷をするためのものである。PS4版が出た当初はどのように受け入れられるかわからないこともあり、過去シリーズをGAME GRAVEYARDに埋めて「PRESS × TO PAY RESPECT」としていたのだろうが、そのPS4版は大成功し、Boom!ではGAME GRAVEYARDが破壊され、DJMAXシリーズ自体が「F」を押すようなものではなくなったために、あえて元ネタからは外したのではないかと思われる。

 

2022年、とあるシリーズ作品の割引が期待されていたGWセールはSteamに来ず、代わりにNEOWIZ パブリッシャーセールなどが来て、DJMAX RESPECT Vの全部入りセットが7割引きくらいになってそれでも¥14kくらいするのに先述のシリーズのまとめ買いの準備である程度ウォレットに金額があったことも手伝い、衝動買いを行いましたAshrmです。ちなみにそのシリーズは飽き始めていたのでダメージは少ないです。

PS4版をDLCの助けを借りながらトロコンし、PS4版に強い思い入れを持っていたのですが、RESPECT Vが明確にPS4版に対する優位*1を示している現状を見て「寂しいが仕方ない」と思っていたときのセールでした。

PS4版とは譜面が同じでも大きくゲーム性が異なり、特に8ボタンの操作に慣れようと思いつつも、コントローラでの譜面処理が恋しくなる今日この頃です。

この記事ではDJMAXについて、PS4の話とPC版の話を混ぜて書いています。

PS4版の操作体系はかなり完成されており、スマホ音ゲーとアーケード音ゲーのいいとこ取りのような印象がありました。beatmania IIDXのように運指であれこれ悩む*2必要はなく、ただ親指のパワーと正確さとスタミナで勝負というスマホ音ゲーの手軽さと、ボタンを叩くアーケードの感覚が両方そなわり最強に見えました。

このような操作体系では、4ボタンは簡単な譜面を認識しやすく、しかし高難易度になると同じ2本の親指でもより少ないボタン数で大量のノーツを処理しなければならず、2本の親指と6ボタンのほうが処理しやすく指を楽しく動かせるし譜面の見た目もよいとして*3、6ボタンが人気でした。そのうえで、人差し指も使う8ボタンモードが発展しており、さらなるチャレンジを提供しています*4

一方、キーボード操作を前提としたPC版では、4ボタンと6ボタンでは使用する指の本数が異なり、プレイ感覚がPS4版の4B-6B間よりも大きく違うため、単純に単純な4ボタンが最も人気があるそうです。ただ、やり込みだすと6ボタンとかに手を出し始めるのかなと思います。

こうした4B<6B<8Bの発展からやや外れた5Bというモードもあり、見た目は6Bに近いにもかかわらず中央レーンをどちらのボタンで処理すべきかの判断を怠ると破滅する厄介なモードで人気は低いですが、今考えるとこのモードは「運指を考える楽しみ」を提供していたといえます。対策と記憶の末に掴んだMAX COMBOの達成感は独特でしょう。

長々と説明してきましたが、このようにDJMAX RESPECT (V)は非常に幅広い層にアピールしているように思えるので、私たちはこのゲームを「とっつきやすい」と考えると思います。

しかし、文字通りに音ゲーをやったことのない人間がこれを初めてプレイするときにどのような困難に遭うだろうか、私には想像しにくいです。例えば最初にプレイするであろうレベル1の譜面である風にお願い 4B NMを見てみましょう。

 

 

まずBPM108の2分です。かつて私の高校の文化祭のために作られた音楽ゲームの難易度は10段階でしたが、レベル1は「遅い曲で、各小節の頭にしかノーツが来ない」といった内容でした*5。これは地域の小学生が文化祭に立ち寄ってプレイし、これ以降音楽ゲームをまともにやることがないかもしれないという想定での設定だったと振り返りますが、とはいえBPM108の2分だったらそこまで問題にはならないような気もします。

ところが、その後すぐに2分のリズムに当てはまらなくなり、同時押しもLNも来ます。もちろん通常の音楽生活で培うことのできる程度のリズム感で対処できる範囲内のものではあるのですが、少なくとも誰でも出来る譜面かを少し疑う必要がありそうです。このゲームを長い間遊べる人間向けに作られているものであり、音ゲーにある程度向いている人間であることが期待されています。音ゲーを楽しめる人はここから始められると思うので、とっつきにくいとまでは言いませんが、極端に気楽とはいきません*6

とっつきにくさでいえば、beatmania IIDX*7音ゲーとして相当とっつきにくい部類に思われます。レベル1の曲の譜面は非常に単純ですが、キーの位置が直感的とはいえず、慣れるまで非常に難しいです。そのうえで非直感的に重い皿を時折回さなければならず、非常に慌てることになります。

その対極にあるのはタッチスクリーンを用いる音ゲーでしょう。スマホ音ゲーの代表的なものとしては、Cytusなどは浮かんでいるノーツそのものを叩けばよいわけです。Muse Dashは例外的にそうではありませんが。アーケードでは、まず最初にjubeatがそのようなゲーム性で大流行していたということを指摘する必要があります。現在ではCHUNITHMもそれに近いところがあって割ととっつきやすそうです。

ところで、そういう観点で言うと、初音ミク Project DIVAは相当とっつきにくいのではないでしょうか。まずノーツが固定されたレーンを流れてきませんし、ノーツの終着点もノーツによりバラバラで、入力デバイスも横に並んだ4つの大きなボタンで、こんなに初心者に厳しい音ゲーは見たことがありません。しかし、ここで収録曲に目を向けると、音ゲーに親しみのない人でもボーカロイドが好きならよく知っている曲が並んでいることに気づきます。ここにこのゲームの「とっつきやすさ」があります。

知っている曲で遊べるという点でいえば、やはり「太鼓の達人」が強さを持っていると思います。私が音楽ゲームを頻繁にやるようになる前でも、ゲームセンターにごくまれに連れていかれたときは「太鼓の達人」を必ず1回はプレイし、当時テレビで流れていた曲をプレイしていた記憶があります*8。そこから音楽ゲームをまじめに始めないかもしれませんが、少なくともスマホ音ゲー以前においては入り口の機能を十分に果たしていたのではないのでしょうか。

ここでDJMAXに戻ってくると、DJMAXはCytusなどのような「ノーツを直接叩くゲーム」ではありません。キーボードのキーやDUALSHOCK4のボタンの対応するものを押すゲームです。そして、最近はほかの音ゲーにいろいろなDJMAX曲が移植されているとはいえ、曲の知名度はいまだに高くありません。版権曲として収録されている曲も日本人には比較的なじみの薄いものになっています。むしろプレイしていい曲を見つけるゲームというべきでしょう*9。その点では、DJMAX音楽ゲームの全くの初心者がプレイするには若干の適性や感性が必要なゲームになると考えます。

ここまで書いてきましたが、私のような音楽ゲームファンはここから何を考えるべきでしょうか。「音ゲーやってます」というだけでいきなりbeatmania IIDXの話をするのはよくなさそうなのは、こんな話しなくても分かります。ただ、いくらDJMAXが好きだからと言って、推しても推してもプレイヤーが思うように増加しなくても文句を言わないことが大事と言いたかったのかもしれません。

まあ、この記事は音ゲー中級者が下を見てにやけてるだけと言われればそうなのかもしれませんが。

 

 

                          

*1:XIGNCODE3の話が出てくるとここに?が付加されますが、ゲーム性の話がしたいので、ここでは特に触れません。

*2:これはゲーム性としては「方向性の違い」で、良いとか悪いとかではないでしょうが。

*3:あくまで私の仮説、または過度の単純化

*4:とはいえ、6ボタンまででも相当チャレンジはありますが。

*5:高難易度側では、私の印象では7…音ゲー初級、8…音ゲー中級、9…普通に難しい、10…音ゲーマー以上という感じでした。音ゲーやっている人向けの譜面難易度はさほど細分化されていないわけですが、この辺は、もしかしたら昔のjubeatの難易度感覚に近かったかもしれません。なお、私たちの作ったコントローラの信頼性に問題があり上位譜面はストレスなくプレイできませんでした。

*6:まあほかの音楽ゲームの最低難易度もこれくらいなのかもしれませんが。

*7:SPの話ですが

*8:ほかの音ゲーにも版権曲はちゃんとありますが。

*9:実際たくさん見つかると思います。