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BMSの記事を書きたいです(1)

Ashrmです。BMS関連の記事はまず最初に入力デバイスについてです。無名で経験もないのに僭越なこと書いてます。

LR2かbeatorajaかというのと同じくらい根源的にPCのキーボードか専コン/DAOコンか(はたまたMIDIキーボードか)という判断があると思います。

私はキーボードで遊んでいます。昨年の春ごろ、コロナ禍なので自宅でパソコンに向かう時間が長くなることを見越していいキーボードを買おうということになり、「後悔を残さないように最も良いものを選ぼう」ということで選んだのがテンキー付きRealforce(R2A-JP4-BK)でした*1。この後キーボード沼にはまって大量購入しないようにという意図もあったわけですが、結局キーボード業界には割と関心を持ってしまいました。Realforceが最も良いキーボードかということに関しては議論の余地が大きいわけで、メカニカルキーボードの常用に興味を持っています。

一般にBMSにキーボードを用いる場合、近年は発狂BMSのこともありますから全押し可能というのが一つの条件になりますね。それで、専コン普及以前、2000年代前半くらい*2までとかの時代は(まあそれ以後でもキーボードの人は)金があればRealforceなんだが買えないのでキー配置なりなんなりをなんとか工夫して可能な限り同時押しできるようにしたりしなかったりという時代があったのではないかと想像しております*3*4。そういう意味では、「RealforceBMSをやるのはなんとなく古風でいい感じ」という気持ちになりますが*5、そういう時代がなかったら全く意味がないです。

しかし、現代は「ゲーミングキーボード」なるジャンルが存在し、色々なキーボードがNキーロールオーバー対応してどんな同時押しもできるようになり、あとの問題は打鍵感と耐久性その他の機能になりました。

Realforceの機能性ですが、今私の持っているものにはAPCキーロックの機能があります。キーロックはわかりやすく、特定のキーを押すと事前に定めたキーが反応しなくなるという機能です。大概のゲーミングキーボードにはWindowsキーを無反応にする機能がありますが、日本語入力のIMEを使用する場合はロックすべきキーはWindowsキー以外にもあります。私はwindowsキー、左Altキー、無変換キー、変換キー、かなキー、Caps Lockキー、半角/全角キーをロックしています。これはやりすぎかもしれませんし、USキーボードの入力形式にしていれば日本語入力関連のキーに悩まされる必要はないわけですが。また、私の環境ではAlt+ZでGeforceのオーバーレイが起動してしまうのでAltキーもロックしています(ショートカットいじるのめんどいんじゃ)。APCは、静電容量無接点方式の利点を生かして各キーの作動する深さを1.5mm、2.2mm、3.0mmから選べるという機能で、こういうカスタマイズ性は興味をそそります。浅ければ反応が速くなり、深ければ間違えにくくなるという具合でしょうか。「底打ちは不要」と言いますが、Apex ProのOmnipointみたいなリニアな荷重特性のスイッチならともかく深さ1.5mmから荷重がほとんど変わらない(むしろやや軽くなる)Realforceはかなりデジタルな打鍵感であってAPCで全キーを浅く調整しても底打ちしないことは難しいと思います。少なくとも私には難しいです。特に発狂BMSでは大体地力ギリギリの処理困難な譜面になると無駄に力が入るでしょう。私はタイミング合わせなどの観点からすべてのキーを最も深い3mmに設定しています。

また、Realforceといえば、モデルチェンジに伴いスペースバーを長くして変換/無変換キーを端に追いやった結果、勝手な想像ですがおそらくRealforceの本来の顧客に含まれていたであろう一部の文字入力ガチ勢を敵に回したことが挙げられます*6。尤もノイジーマイノリティと考えてしまえばそれまでなのかもしれませんし、ほとんどの人があまり気にしていない話題なんですが。ゲーミング的意図としては「ジャンプがしやすい」ところがありますが、そうでなくとも「変換キーの使い方を知らない奴はバカ」みたいな態度では世の中前に進みませんよ。文字変換は多くの人がスペースバーで行っているでしょうし*7。ただ、変換・無変換キーに親指が届きやすいキーボードが絶滅しつつあるというのも問題と思います*8

しかし、ゲーミングでのRealforceの存在感は向上しているのでしょうか。一応ゲーミングっぽく光るモデルもあるんですが、ゲーミングな見た目では他のゲーミングキーボードに劣り、LEDの耐久性に難があるという話もあります。なんというか、個人的にはRealforceのサイトにあるGreen Leavesなるチームの使用キーボード(当時)はほとんど光らないRealforceだったというのが印象的でした*9

www.realforce.co.jp

まあ、ただ、結局キーボードのことをあまり知らなくてもRealforceは高級なキーボードとしてすぐ思いつくまでに至っているのが大きいと思います。

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思ったより長くなってて驚いてます

カニカルキーボードについては触らなければわからないところが非常に多いと思いますが、Youtubeの動画などを見ていると「Cherry MXは全く最善の選択肢ではない」とされています。特に、2014年にCherryの特許が切れて以降、今まで様々な会社がクローンを出し、それどころか新しい方式のキースイッチを考案し、Cherry MXよりも新しく良質なキースイッチが製造販売されているようです。光学式スイッチやホール効果スイッチなどがありますね。しかし、家電量販店ではまず出くわさないようなものもかなり多く、ゲーミングにおいて最高とされるwooting製キーボードは海外から通販するしかないようです。また、海外のキーボードには日本語のキー配列が用意されていない場合があることも無視できません。そして、様々なキースイッチを試すためにはどうしても自作キーボードの領域に入るなどすることになります。当然ハードルは高いわけで、ゲーミングとはちょっと違う趣味になってしまいますね。また、キースイッチに関心のある人はキーボードの打鍵を「そのものとして」楽しむ傾向が強いです。これはゲーミングとはちょっと違うところに関心があるのではないでしょうか。触ったことがないのでよくわかりませんが、例えばNovelkeysのBox Navyスイッチは特殊なクリッキータイプでやや重いが強く鋭い荷重の抜けが味わえると聞きます。これは非常に楽しい感触でしょうが、ゲーミングや文字入力の高速操作、また長時間打鍵には全く向かなそうですよね。Nキーロールオーバーがあるとはいえ、例えば打鍵感が最高とされるものの一つであるIBMモデルF*10で発狂BMSをすると指が粉々に破壊されそうです(ちょっと興味あるけど)。

これらのキーボードに関する情報はほとんどがRealforce購入後に知ったものです。Realforceの打鍵感についてそこそこ知られたレビュアーなどが「ただ高いだけのラバードーム(日本で言う「メンブレン」あたりを指す用語*11 )」と言っていたり、様々ある非常に魅力的なキーボードが興味のある人にしか知られていないのを見ていると、あのころの私ははっきり言ってRealforceブランドに惹かれて高い買い物*12をした情弱だったのではないかと思ってしまいます。Realforceはゲーミングキーボード概念の登場以前の2001年に発売して以来日本では高級キーボードとしてのブランドを確固たるものとしてきました。ゲーミングキーボードの世界やマニアの世界では単にその辺の選択肢の一つでしかないのですが、一般市民の世界でとりあえず知られているのが重要なことです。

しかし、Realforceの打鍵感が「ただ高いだけのラバードーム」としか思えない人は、基本的に「メカニカルなキースイッチらしい」タクタイル感*13を好んでいるというだけで、単純に好みの問題と言ってよいでしょう。ただその好みに合うキーボードが家電量販店に滅多に並んでいないというのは少し問題な感じもしますが。私は正しくタクタイルなタクタイル/クリッキースイッチに触れたことがないので何とも言えませんが、試してみたい気持ちがあります。選択肢が多いのは、財力と興味が無限にある場合においていいことですね。

そして、私が情弱だったとしても、今のところBMSに使うキーボードとしては、Realforceは最善の選択肢の一つだったと思います*14。どんな打鍵感がどんなゲーム、押し方に適しているのかの理論は必要ないからか見かけませんがただひたすら主張の少ない打鍵感と軽さ*15BMSに適しているような気がします*16音ゲーにおいて望ましい特性ってなんなんでしょうか。他のゲームみたいに長時間WキーやShiftキーなどを押下し続けないことを考えると、音ゲーするキーボードを選ぶのとFPSなどをするキーボードを選ぶのでは違う理想形になる可能性はありますよね。理論配列の沼にどっぷり浸かっている人間でもまずやらないような数の同時押しが連発したり、非常に速かったりすることを除けば音楽ゲームは通常のタイピングに近いようなプレイングになるので、タイピングのためのキーボードが輝いてもおかしくなくて、そこにRealforceがはまっているといえそうですね。

ちなみに「31ミリ秒(0.031秒)以上のキーON時間が必要」というWikipedia上の記述などに触れておくと、そのようなキーON時間が必要なのは事実なようですが、これで入力抜けを起こそうとしていろいろ試してみたのですが、全力でキーを弾くように短く叩こうとしてようやくこのラインに到達できるかな程度であり、その時は弾く勢いで腕が上に上がるなどしていたので、私の通常のプレイングではこれに引っかかることはまずないと思います。またこれがそのまま遅延になっているらしいですが、現実問題高密度譜面ではFASTを量産するので、あまり大きな問題とも思いません*17

なんの話でしたっけ?ここまでキーボードの話ばかりしておりましたが、BMSの入力デバイスとしてコントローラは無視できないどころか大多数なのでありまして、mocha-repositoryでSP発狂三段に合格している人々を見てみると、キーボードは2割くらいしかいません(ちなみにMIDI DEVICEは一人もいませんでした)。また、発狂皆伝の合格者26人の内キーボードは5人とやはり2割程度のようです。

私がコントローラにしないのは、コントローラを毎度毎度引っ張り出すのは続かないからです。

実はCSの専コンをかなり前から所有していて、高校時代にBMSをプレイし始めた時は専コンを叩いていました*18。しかし、専コンが常にプレイできる場所に置いてあったわけではなく、プレイするたびに専コンを取り出してPCに接続する必要がありました。私の場合、こういったことはめんどくさくなって続きません。似たようなことが弾幕シューティングゲームをアーケードっぽいコントローラでやる場合*19レーシングゲームでハンドルコントローラーを用いる場合*20でもあてはまります。なんというか、家が広ければコントローラを常設できるのにそれができなくてゲームが続かないというのは、安い賃貸のクソ狭い台所での自炊に作業コストが大きくかかるのと同様に「貧しさは選択肢を狭める」が当てはまる事例かと思います*21。で、高校2年の半ばでBMSをプレイするのを一旦やめてしまい、確か通常6〜7段止まりでした。このとき同時に本家もやっていたのですが、7段止まりだったということです。それで、コロナ禍に乗じてBMSを再び始めたときは、BMSを全くやったことがないも同然なので、改めてキーボードで入門することにしたわけです。

さて、キーボードでプレイするとなるとキーアサインの問題が最初にあります。Nキーロールオーバーを持っているので、基本的にどのようにキーを割り当てても許されるのですが、私は本家との一貫性を無視した配置の代表例であるzxc[Space]jklを用いています。皿は左Shiftと:です*22。通常のタッチタイピングみたいな運指で譜面を処理できますが、コントローラーなどのプレイと比べて重要なプレイ要素が抜け落ちていて、それは「降ってきた譜面に対して運指を考える」という点です。本家の7ボタン+皿はどのように叩けばよいのかが一つに決まっておらず、また叩き方がすぐにはわからないという特徴があります。上達理論のサイトなどを見ても、まず運指の固定が説かれていて、そこには4種類ほど運指が書かれていて、これらを使い分けることが大事だとされています*23。これは一見面倒ですが、コントローラの楽しい、器用な側面でもあると思います。私はついに1048式以外を身につけずにコントローラでのプレイをやめたので、そう言う意味での指を自由に動かせる楽しみを全く知りません。こういった要素は、5鍵のころにはちゃんとあった「音楽ゲーム」一般の楽しみだったかもしれないのですが、譜面が複雑化し、どこで何の音を叩いているのか分からなくなった現在、分かりやすさなどのために各鍵盤の担当する運指を完全に固定しているのが現状です。

あ、あと、最後に大事なお金の話です。一般的に用いられているPS2用の専コンは数千円ですが、一般的に用いられていると私が勝手に思っているPHOENIXWANは3万円します。本家もやる人間はこのようなタイプのコントローラを用いるのが望ましいし、実際DAOコンを用いているうまい人は何人も見ています。この高い参入障壁は、平和な環境を作っているのでしょうか。

私が利用しているR2A-JP4-BKはこの記事を書いている2021年9月の時点では23千円しますが、同年6月時点で生産終了しているらしい。一般にAPC機能の需要がなかったのかもしれません。APC機能のないR2-JP4-BKは18千円くらいで買えます*24。しかも、これは単に音ゲーバイスの価格ではありません。私の感覚では、これは「Realforceのある自粛生活」に2万円を投じたというべきものです。しかし、キーボードでBMSをするというとき、多くの人にとって「得たスキルが本家に応用しにくい」のが致命的なのでしょう。

BMSのプレイにコントローラを用いることとキーボードを用いることの話をしてきたつもりです。どちらがよいかの結論は出ません。

 

 

 

*1:何が言いたいかというと、BMSのためにキーボードを買ったわけではないということ。まあ実質的にはそんな感じになった感も否めませんが、この生活を機に通常のタッチタイピングを習得するなどして普段の生活にも役立てています。

*2:ゲーミングキーボード概念の普及以前とも重なる

*3:この時代、私は小学校にすら通っていない

*4:また、以前は同時押しに制限のあるキーボードに配慮していない譜面が批判されていたらしいですね。今では想像できません。「上達を目指すならば、まず入力デバイスで手を抜くことは考えられない」というのが当たり前のような感じがしていますが、間違いなくBMSがそういうものではなかった時代があったのだといえます。

*5:じゃあRealforce 106みたいな旧式のモデル使えよ、というのは妥当なツッコミですが、そこまで私は「こだわりが強く」ないので…

*6:親指シフターなど。なんかこういうキーボードの活用法を一般市民よりも考えている界隈は他を寄せ付けない雰囲気があります。よく知っている必要があってバカでは入れない小さく平和な界隈。

*7:カタカナを使いたいときに無変換を使うくらいか。実は変換キーは変換間違いを再変換する機能があるようですし、変換・無変換キーなどに便利な機能を付与して使っている人もいるみたいですが

*8:スペースバーが長いことが悪いとされていますが、必ずしもそうではないようです。Razerの少し前までの日本語配列キーボードではスペースバーが非常に短いながらその位置がおかしく、無変換キーが押しづらい位置になっているものがありました。

*9:しかし、私はR2SA-JP3-IVなどの、いかにも業務用然とした見た目からバチボコにゲーミングできるパフォーマンスという感じに強く惹かれていて、ゲーミングキーボードとして最高のデザインだとすら思っています。正直在庫や金などが許せば私も日本語がちゃんと印字されたアイボリーのRealforceが欲しかった

*10:1980年代の静電容量座屈ばね方式(?)を用いたキーボード。有志がリメイク版を製造しているが、4万円以上するらしい…

*11:グレード的な意味で。量産・低価格・低品質のキーボードの動作方式といえば、海外では「ラバードーム」、日本では「メンブレン」と思う傾向にあると勝手に思っています。大概ラバードームとメンブレンの組み合わせが安いキーボードの動作方式なのですが、「メンブレン」では厳密には高品質なIBMモデルMも含んでしまうし、「ラバードーム」では厳密にはPCBの上にラバードームを置いたものも含んでしまいます。

*12:値段がバカ高いのも販売戦略の一つです。ゲーミング産業全体的に言えることかもしれませんが

*13:ちなみにCherry MXではこれは得られないらしいです

*14:そうでなかったとしても気にしません。あまり差がないはずです。

*15:ただ、Realfroceはラバードームだからか5年とか使っていると打鍵感が変化するらしいです

*16:リニアスイッチのほうが打鍵感がないかもしれませんが、最小限「押した」という感覚はあってもよいのかもしれません。結局まともなキーボードをRealforce以外使っていないというのになんでこんなレビューめいた記事を書いているんだ。

*17:低遅延追及は金がなくてできないし、音ゲーは最終的には遅延を受け入れてタイミングを合わせなければなりません

*18:正確には、当初は小さなMIDIキーボードでプレイしていたのですが、通常6段あたりから専コンを入手して使い始めた

*19:レバーをセイミツ製のものに換装したRAPV3SAを所持しているにもかかわらずほとんど活用していない

*20:あれプレイのたびに取り外したり取り付けたりみたいなこと全く想定してないですよね

*21:参考: https://togetter.com/li/1459534

*22:SpaceキーはRealforceの標準ではバネが仕組まれていますが、私は取り外しています

*23:エアプ的な妄想ですが、最終的には小指以外の8本の指(と小指皿)をあらゆる譜面に対して瞬時に最適化できるようになるのが理想ということなんでしょうが、それを体得するには時代が進みすぎたのかなとも思います。

*24:しかしこのモデル、APC機能がない以外の違いもあります。それは見た目です。R2A-JP4-BKはキーキャップがPBT樹脂に昇華印刷を行っているもので、濃いグレーに黒文字ですから非常に印字が見づらいですが長期間使っても文字が消えにくいです。しかし、R2-JP4-BKはキーキャップがABS樹脂にレーザーマーキングで、黒字に金文字になっており、割とすぐに印字が薄くなったりかすれたりするようです。このレーザー印字ABSはAPCのない日本語配列のブラックのキーボードの仕様のようです。そして、Realforceのラインナップは割と不自由で、Mac用やRGBを除くとフルキーかTKL×静音か否か×APC有無×JP配列かUS配列か×荷重4種類×白黒でありうる組み合わせは128通りある(型番でどの組み合わせか分かる)んですが、その内現在生産されているのは34種類だけ。